ヒルズ黙示録
- 作者: 大鹿靖明
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/04
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- 作者: 大鹿靖明
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やつらはどんな「ワル」だったのか?
どいつがホントのワルなのか?
それぞれ、上記二冊の帯のキャッチコピーである。
「(前略)堀江はね、ひょっとしたら大成するかもしれない、いわば文豪のタマゴなんです。ボクはその堀江の可能性を信じて、せっせと水商売で働いて貢いでいる飲み屋の女といったところかな」
ライブドア元CFO・宮内亮治氏の発言
ヒルズ黙示録―検証・ライブドア
宮内氏の言う水商売とは、ライブドアの金融事業のこと。結局はその「水商売」が、彼らの命取りになった。
「もともと堀江君はコンピュータの技術者だった。コンピュータの技術者が技術を競うとき、ほかの技術者では思いもつかぬプログラミング手法を探し求める。
(中略)
つまりシステムの『穴』を見つけた者が勝ちなのだ」
ハイパーネット元経営者・板倉雄一郎氏の発言
ヒルズ黙示録―検証・ライブドア
市場制度や法律の穴を見つけて利益を上げてきたライブドアについてのこの発言であるが、『穴』自体は堀江氏が見つけたものでもないし、それを見つけた宮内氏らにしても、最初からそう意図していたわけではない。
宮内氏、堀江氏。それからライブドアを「手玉に取っていた」村上世彰氏。
それから、フジテレビに代表される大手メディア。
東京地検。
どいつがホントのワルなのか?
ライブドアの堀江たちや村上への国策逮捕は、劇的に進む日本の少子高齢化現象のなかで、この国の最大の対立軸のひとつが「世代間闘争」であることを改めて見せつけている。欧州や米国のように資源と富の蓄積のないこの国で、団塊以上の年寄りの世代が国富を蕩尽し、彼らは子供たちに「貧乏国家」で暮らすことを強制しようとしている。
バブル経済の崩壊以降、倒産やリストラの経済危機に見舞われたが、多くの大企業や官公庁では中高年管理職や幹部層が、責任を問われることなく居座るか、退職金を手にして円満退社することができ、逆に、社会に出ようとした息子や娘たちを「就職氷河期」で締め出すことに成功した。団塊世代以上の中高年が自分たちの職場と雇用を守るため、子供たちにフリーターやニートになることを強いたのだ。
(中略)
堀江や宮内たちには、新しいテクノロジーやサービスを提供し、安定的なキャッシュを稼ぐ力はなかった。
(中略)
一方、村上は結局は裁定取引狙いの短期の株式売買が中心で、株を取得した企業を再生させて企業価値を高めることはできなかった。
(中略)
彼らでは「年寄りの天国」ニッポンを突破することはできなかった。