効果的なSEOは、効果的であるがゆえにその効果を失う ― 効率的SEO仮説

GoogleYSTの検索結果順位は、しばしば変動する。検索アルゴリズムの変更が為されれば、今までの順位とは別の結果がSERP(Search Engine Result Page)に表示される。

都度どのようにアルゴリズムが変更されているのかはわからないが、目的ははっきりしている。中の人が意図している検索結果を表示させるためである。


では、どんなサイトが中の人の意図に合致し、逆にどんなサイトが合致しないのか?


それを調べるには、現在上位に表示されているサイトを調べればよい。キーワード含有率、タグの使い方、サイトの構成、テキスト量、ページ数、被リンクの質や数。あるいは別の何か。

そのような調査を行い、自らのサイトが上位表示されるように調整することを、SEOと呼ぶ*1


metaタグのkeywordが重要である、という結果が出れば、そこにキーワードが羅列される。body内のキーワード量が重要であれば、意味なくキーワードがちりばめられたページが増える。

リンク数が重要であればリンクファーム、リンクスパムが増える。ブログが有利であればブログが増える。


結果として、その基準は意味を為さなくなる。


SEOにはそれで飯を食っているプロ、専門家がいる。彼らは常に「効果的な*2SEOは無いか」を探している。そうした人たちが上位サイトを調べ、基準を見つけて真似ることで、「効果的なSEO」はすぐに効果的ではなくなってしまう。*3


ここまで読めばお分かりだろうと思うが、これはいわゆる「効率的市場仮説」のアナロジーである。株価に影響を与える情報が瞬時に伝わる株式市場では、(インサイダーを除いて)誰もその情報で儲けることはできない。

ここから類推できるのは、仮に検索エンジンアルゴリズムが全て公開され、全てのサイトがそれに従ってSEOを行えば、全てのSEOは無駄骨になる、ということである。


ただし、株式市場が完全には効率的でないのと同様に、検索アルゴリズムはその詳細が公開されないまましばしば変更されるし、中の人が上位表示させたいサイトの中にはSEOを行わないものが存在する。したがって「フリーランチ」は存在するはずであり、それを狙うのは市場参加者・・・もとい、上位表示を目指す者としては、正しい行為であろう。


ただし、SEOを行う際には、効果がやがて消えることを覚悟するべきである。

*1:無論、それだけではないが

*2:ここで「効果的」とは、労力に比して検索エンジンへの影響が大きいことを意味している

*3:もちろんすぐには真似の出来ない基準もあるだろうが、その基準を満たすようなSEOは「効果的」ではないはずである